お子さんの体にいつの間にかできているポツポツとした「水いぼ」。かゆがって掻き壊してしまったり、プールや保育園で他の子にうつらないか心配になったりする保護者の方は非常に多いです。
水いぼの治療法としては「ピンセットでつまんで取る(摘除)」処置が広く行われていますが、痛みを伴うことがあるため、近年では痛みに配慮した治療やスキンケアの選択肢も増えています。
今回は、痛みを伴う処置を避けたい場合のスキンケア選択肢として注目されている銀イオン配合の「m-BFクリーム」について、保険診療内の治療(ヨクイニン漢方薬やピンセット摘除)、そして新しい保険適用の外来塗布薬「ワイキャンス外用液」との違いを比較しながら、分かりやすく解説します。
水いぼって、ピンセットで取る処置は痛いって聞いたことがあるよ。痛みの少ない治療法やお薬もあるのかな?
当院では、「ピンセット摘除」および「ワイキャンス外用液」は行なっておりません。
当院では、ご自宅でスキンケアとして塗布できる「m-BFクリーム(自費)」の取り扱い(院内販売)を中心に、お子さんとご家族のご希望やお肌の状態に合わせたケアをご提案しております(ご希望に応じて漢方薬「ヨクイニン」の内服処方も可能です)。
水いぼ(伝染性軟属腫)とは?
水いぼの正式名称は「伝染性軟属腫(でんせんせいなんぞくしゅ)」といい、伝染性軟属腫ウイルスが皮膚に感染することで発症します。表面がツルツルして真ん中が少し凹んだ、直径数ミリ程度の小さなポツポツが特徴です。
ウイルスに対する免疫が自然にできるのを待つと、治るまでに半年から2年ほどかかります。健康上は放置しても自然に治るため「無理に取らなくても良い」とされることもありますが、かゆみを伴って掻き壊すと他の場所に次々と広がったり、皮膚のバリア機能が落ちたアトピー性皮膚炎のお子さんでは急速に増えたりすることがあります。また、保育園やスイミングスクールなどでの接触により周囲にうつしてしまう可能性があるため、治療を希望される方が多いです。
水いぼの治療・スキンケアの選択肢と比較
治療とスキンケアは目的が異なります。以下では、それぞれの保険適用の有無や処置の特徴、注意点、そして当院での対応可否をまとめた比較表です。
| 治療・スキンケア方法 | 当院での対応 | 保険適用 | 痛みの有無 | 目的・特徴 | デメリット・注意点 |
|---|---|---|---|---|---|
| m-BFクリーム (銀イオン配合) |
◎ 取り扱い・販売中 (当院メイン) |
なし(自費) | 摘除処置は行わない。肌に合わず刺激を感じる場合がある | ご自宅で使うスキンケア商品。水いぼを取り除く処置ではありません | 保険が適用されないため全額自己負担(※当院窓口にて税込2,200円で販売中)。水いぼの治癒や治療期間の短縮を保証するものではありません。使用方法や継続の判断は医師にご相談ください |
| ヨクイニン内服 (漢方薬) |
◯ 処方可能 | あり | なし(処置痛なし) | 内服薬のため処置に伴う痛みがない | 効果が出るまでに数ヶ月以上の長期服用が必要。粉薬であるため小さな子どもには内服が難しいことがある。効果の個人差が大きい |
| ピンセット摘除 | ✕ 行っていません | あり | 痛みを伴うことがある | その場で確実にいぼを取り除ける(即効性がある) | 処置時に痛みを伴うことがある(麻酔テープ等を使用する場合もありますが、痛みの感じ方には個人差があります) |
| ワイキャンス外用液 (新薬・外来塗布) |
✕ 取り扱いなし | あり | 処置時はほぼなし (後日水疱化による痛みあり) |
日本初の保険適用外用薬。痛みを伴うピンセットの処置を避けることができる | 医療機関でのみ塗布が可能(自宅では塗れません)。3週間に1回の通院が必要。塗布後16~24時間後に自宅で石鹸を使って洗い流す手間がある。水ぶくれ(水疱)ができる |
| 水いぼ治療・スキンケア方法の比較一覧(当院ではm-BFクリームの取り扱いを中心にご案内しています) | |||||
水いぼは自然に治ることも多い皮膚の感染症です。当院ではピンセット摘除やワイキャンスは行っておらず、ご自宅で塗布できるm-BFクリームの取り扱いを中心にご案内しています。
それぞれの治療・スキンケアの特徴と当院の対応
1. 銀イオン配合「m-BFクリーム」(自費スキンケア) 【当院で取り扱い・販売中】
医療機関専売のスキンケア商品(保湿クリーム)です。銀イオン配合により皮膚を清潔に保つことを目的として開発されました。ご自宅でのスキンケア習慣の中で塗布する商品で、水いぼを取り除く処置ではありません。自費商品(保険適用外)のため、全額自己負担となります。水いぼの治癒や治療期間の短縮を保証するものではなく、肌に合わず刺激を感じる場合もあります。
2. ヨクイニン(ハトムギ)の内服(保険診療) 【当院で処方可能】
ウイルスの排出を促す作用があるとされる漢方薬「ヨクイニン」を毎日服用する方法です。処置に伴う痛みがないため取り組みやすいですが、粉薬を毎日飲む必要があるため、小さなお子さんには内服自体が難しい場合があります。また、効果には個人差があり、数ヶ月以上飲み続けても変化が見られないこともあります。
3. ピンセットによる摘除(保険診療) 【※当院では行なっておりません】
専用のピンセットで水いぼをつまみ、中のウイルスのかたまり(軟属腫小体)を取り除く一般的な治療法です。その場で見えている水いぼを直接取り除ける即効性があり、多くの医療機関で行われています。処置時に痛みを伴うことがあるため、麻酔テープ(ペンレステープ)を事前に貼って痛みを和らげる工夫なども広く用いられています(※当院ではピンセット摘除は実施しておりません)。
4. ワイキャンス外用液0.71%(新薬・保険診療) 【※当院では取り扱いなし】
2025年9月に日本で初めて製造販売承認され、2026年2月に発売された水いぼ用の新しい保険外用薬です。有効成分である「カンタリジン」の作用により、塗布した部位に意図的に水ぶくれ(水疱)を作り、それがかさぶたになって剥がれ落ちる際にウイルス感染細胞を一緒に除去する仕組みです。
注意点:自宅で保護者の方が塗ることはできず、必ず医療機関を受診して医師または看護師が患部に塗布します。また、塗布した後は16~24時間後に自宅で石鹸を使って洗い流す必要があります。3週間に1回の頻度で通院し、処置を行います。
m-BFクリームの使用方法と皮膚の変化について
当院で取り扱っているm-BFクリームをご使用いただく際の使用方法の目安と、経過観察時のポイントです。お子さんのお肌の状態(アトピー性皮膚炎や乾燥肌など)によって適した塗り方や併用する保湿剤が異なりますので、診察時に医師の指示・アドバイスに従ってご使用ください。
使用方法の目安(医師の指示に従ってください)
- 塗る頻度・タイミング:医師の指示に従い、1日1〜2回(入浴後など)清潔なお肌に塗布します。
- 保湿剤との併用:保湿剤を処方されている場合は、塗る順番や範囲について医師にご確認ください。通常は全身の保湿を行った後、水いぼの部分へ適量を塗布します。
- 塗布範囲:気になる水いぼとその周辺の皮膚への塗り方についても、診察時にご案内いたします。
経過中の皮膚の変化とご相談の目安
クリームを継続して塗布していると、水いぼやその周辺が赤くなったり、乾燥してかさぶた状に変化したりすることがあります。これらは皮膚の反応や自然な経過に伴い見られることがありますが、変化の現れ方には個人差があります。
【医師へのご相談をお願いしたいケース】
- 水いぼ周囲の皮膚が広範囲に赤くなったり、腫れ・かゆみ・痛みが生じたりした場合(接触皮膚炎・かぶれなどの可能性)
- かゆがってお子さんが強く掻き壊してしまう場合
- 皮膚の状態に変化が見られ不安を感じた場合や、使い方に迷った場合
お肌に合わないと感じた場合や強い赤み・かゆみが出た場合は、いったん使用を中止し、速やかに当院医師へご相談ください。
まとめ
水いぼは自然に消退することも多い皮膚疾患ですが、掻き壊して他の部位へ広がったり、周囲へうつしてしまったりすることが心配な場合は、早めのご相談をおすすめします。
「処置に伴う痛みをできるだけ避けたい」「自宅でスキンケアを行いながら様子を見たい」というご家庭に向けて、当院ではm-BFクリーム(自費)の取り扱いや漢方薬の処方を行っております。
お子さんのお肌の状態やライフスタイル、ご家族のご希望に合わせて丁寧にお話を伺います。気になるポツポツを見つけたときは、どうぞお気軽に当院へご相談ください。