お子さんの体にいつの間にかできているポツポツとした「水いぼ」。かゆがって掻き壊してしまったり、プールや保育園で他の子にうつらないか心配になったりする保護者の方は非常に多いです。
水いぼの従来の代表的な治療法は「ピンセットでつまんで取る」ことでしたが、これには強い痛みを伴うため、お子さんにとっても保護者の方にとっても大きなストレスとなっていました。しかし、近年では痛みを避けるための様々な治療の選択肢が増えています。
今回は、痛みのない自費スキンケアの選択肢として注目されている銀イオン配合の「m-BFクリーム」について、保険診療内の治療(ヨクイニン漢方薬やピンセット摘除)、そして最近(2026年2月)登場した新しい保険適用の外来塗布薬「ワイキャンス外用液」との違いを比較しながら、分かりやすく解説します。
水いぼって、ピンセットでむしり取るのがすっごく痛いって聞いたよ。痛くない治療法はないのかな?新しいお薬も出たって本当?
水いぼ(伝染性軟属腫)とは?
水いぼの正式名称は「伝染性軟属腫(でんせんせいなんぞくしゅ)」といい、伝染性軟属腫ウイルスが皮膚に感染することで発症します。表面がツルツルして真ん中が少し凹んだ、直径数ミリ程度の小さなポツポツが特徴です。
ウイルスに対する免疫が自然にできるのを待つと、治るまでに半年から2年ほどかかります。健康上は放置しても自然に治るため「無理に取らなくても良い」とされることもありますが、かゆみを伴って掻き壊すと他の場所に次々と広がったり、皮膚のバリア機能が落ちたアトピー性皮膚炎のお子さんでは急速に増えたりすることがあります。また、保育園やスイミングスクールなどでの接触により周囲にうつしてしまう可能性があるため、治療を希望される方が多いです。
水いぼ治療の選択肢と比較
現在選ぶことのできる主な治療法について、保険適用の有無や痛みの強さ、通院の頻度などを比較したテーブルです。
| 治療方法 | 保険適用 | 痛みの有無 | メリット | デメリット・注意点 |
|---|---|---|---|---|
| ピンセット摘除 | あり | 強い痛みあり | その場で確実にいぼを取り除ける(即効性がある) | 強い痛みや出血を伴うため、お子さんの恐怖心や精神的負担が大きい(麻酔テープを併用しても痛みをゼロにはできません) |
| ヨクイニン内服 (漢方薬) |
あり | なし | 内服するだけなので痛みが一切ない | 効果が出るまでに数ヶ月以上の長期服用が必要。粉薬であるため小さな子どもには内服が難しいことがある。効果の個人差が大きい |
| ワイキャンス外用液 (新薬・外来塗布) |
あり | 処置時はほぼなし (後日水疱化による痛みあり) |
2026年2月発売の日本初の保険適用外用薬。痛みを伴うピンセットの処置を避けることができる | 医療機関でのみ塗布が可能(自宅では塗れません。※当院では取り扱いなし)。3週間に1回の通院が必要。塗布後16~24時間後に自宅で石鹸を使って洗い流す手間がある。水ぶくれ(水疱)ができる |
| m-BFクリーム (銀イオン配合) |
なし(自費) | なし | 自宅で毎日のスキンケア時に塗布できる。痛みが一切なく、肌を整えながら自然な消失を促す | 保険が適用されないため全額自己負担(※当院窓口にて税込2,200円で販売中)。効果が出るまでに数週間から数ヶ月の継続が必要 |
| 水いぼ治療・スキンケアケア方法の比較一覧 | ||||
昔はピンセットで取るしかありませんでしたが、今は痛みの少ない選択肢がたくさん増えましたね。お子さんの年齢や水いぼの数、性格に合わせてご家族で納得のいく方法を選びましょう。
それぞれの治療・スキンケアの特徴
1. ピンセットによる摘除(保険診療)
専用のピンセットで水いぼの頭をつまみ、中のウイルスのかたまり(軟属腫小体)を押し出す治療法です。その場で見えている水いぼを取り除ける即効性がメリットですが、強い痛みを伴います。痛みを和らげるために麻酔テープ(ペンレステープ)を貼ってから行うこともありますが、皮膚の深部の痛みは完全には抑えられず、お子さんがクリニック自体を怖がってしまう原因になることもあります。
2. ヨクイニン(ハトムギ)の内服(保険診療)
ウイルスの排出を促す作用があるとされる漢方薬「ヨクイニン」を毎日服用する方法です。痛みが一切ないため取り組みやすいですが、粉薬を毎日飲む必要があるため、小さなお子さんには内服自体が難しい場合があります。また、効果には個人差があり、数ヶ月以上飲み続けても変化が見られないこともあります。
3. ワイキャンス外用液0.71%(新薬・保険診療)
2025年9月に日本で初めて製造販売承認され、2026年2月に発売された水いぼ用の新しい保険外用薬です。有効成分である「カンタリジン」の作用により、塗布した部位に意図的に水ぶくれ(水疱)を作り、それがかさぶたになって剥がれ落ちる際にウイルス感染細胞を一緒に除去する仕組みです。
注意点:自宅で保護者の方が塗ることはできず、必ず医療機関を受診して医師または看護師が患部に塗布します。また、塗布した後は16~24時間後に自宅で石鹸を使って洗い流す必要があります。3週間に1回の頻度で通院し、処置を行います。
※大変恐れ入りますが、現在当院ではワイキャンス外用液の取り扱いはございません。
4. 銀イオン配合「m-BFクリーム」(自費スキンケア)
医療機関専売の自費スキンケア商品(クリーム)です。銀イオン(Ag+)の持つ優れた抗菌作用に着目して開発されました。水いぼの気になるポツポツ部分とその周辺に毎日塗ることで、皮膚のバリア機能を整えながら、水いぼの自然な消失を促します。痛みが一切なく、ご自宅で毎日のスキンケアの延長として塗ることができるため、お子さんや保護者の方の負担が最も少ない方法の一つです。自費商品のため、全額自己負担となります。
※m-BFクリームは、当院の窓口にて1本 2,200円(税込、税抜2,000円)で自費販売しております。診察時に医師へご相談ください。
m-BFクリームの正しい使い方と経過
m-BFクリームを使用してケアを行う場合の正しい塗り方と、効果が現れる際の経過のポイントです。
正しい塗り方
- 塗る頻度:1日2回(朝と入浴後)塗布します。
- 塗る順番:入浴後などは、まず医師から処方されている保湿剤(ヒルドイドなど)を全身に塗った後、最後にm-BFクリームを水いぼのポツポツした部分へピンポイントで少し多めに(ちょんと乗せるように)塗ります。
- 範囲:見えている水いぼだけでなく、その周囲の皮膚にも薄く広げるように塗ることで、周囲へのウイルスの広がりを防ぎます。
効果が出る時の経過(赤い反応)
クリームを塗り続けていると、通常2週間から数ヶ月ほどで、水いぼが「赤く腫れたような状態」に変化してきます。初めてこの変化を見た保護者の方は「薬が合わなくて悪化したのではないか」と驚かれることがありますが、これはウイルスの存在に体の免疫が気づいて退治し始めた「良いサイン」です。
赤くなった水いぼは、その後カサカサと乾燥してかさぶたになり、自然と枯れて剥がれ落ちていきます。全体が枯れるまでクリームを塗り続けましょう。
※塗布後に水いぼ以外の周囲の皮膚が広範囲に赤くなったり、かゆみが強くなって掻き壊してしまったりする場合は、かぶれ(接触皮膚炎)の可能性があります。その場合は使用を中止し、当院の医師にご相談ください。
まとめ
水いぼは自然に治る病気ですが、数が増えて広がったり、掻いて他の部位に感染が広がったりすることを防ぐためには、早期の対応が有効です。
「痛い治療は絶対に避けたい」「自宅でゆっくりマイペースに治したい」という場合は、m-BFクリームによる痛みのないホームケアがとても良い選択肢になります。
お子さんの水いぼの状態やご家族の希望に合わせて、最適な方法を一緒に考えていきましょう。気になるポツポツを見つけたときは、どうぞお気軽に小児科にご相談ください。