アデノウイルス感染症は、小児科でよく見かける感染症のひとつです。発熱・のどの痛み・目の充血など、さまざまな症状を引き起こします。このコラムでは、アデノウイルス感染症の症状・診断・治療・家庭内での感染対策についてわかりやすく解説します。
アデノウイルス感染症とは
アデノウイルス感染症は、アデノウイルスというウイルスによって引き起こされる感染症です。アデノウイルスには60種類以上の型があり、型によって引き起こす病気が異なります。一般的な風邪症状のほか、特に小児でよく見られる合併症として「咽頭結膜熱(プール熱)」と「流行性角結膜炎(はやり目)」があります。
ハマッコ
プール熱とはやり目って、同じアデノウイルスが原因なの?
ナースさん
そうなんです!どちらもアデノウイルスが原因ですが、型が違います。プール熱は主に3型・7型、はやり目は主に8型・19型・37型が原因です。症状が出る場所も違って、プール熱はのどと目の両方に、はやり目は目に強く症状が出ます。
主な症状
アデノウイルス感染症の代表的な症状は以下の通りです。
- 高熱(38〜40度程度)
- のどの赤みと痛み
- 咳・くしゃみ・鼻水
- 目の充血・目やに(結膜炎)
- 頸部リンパ節の腫れ
重症の場合には、中耳炎や肺炎などの合併症が起こることもあります。
咽頭結膜熱(プール熱)の特徴
発熱・のどの痛み・結膜炎(目の充血・涙目)の3つがそろうのが特徴です。夏のプールでの感染が多いことから「プール熱」とも呼ばれます。学校保健安全法では出席停止の対象となっており、主要症状が消えた後2日が経過するまで登園・登校できません。
流行性角結膜炎(はやり目)の特徴
感染力が非常に強く、目の充血・大量の目やに・まぶたの腫れが主な症状です。詳しくは「流行性角結膜炎(はやり目)」のコラムをご覧ください。
診断方法
診断は症状と診察所見をもとに行います。必要に応じて、鼻やのどの検体を用いた迅速抗原検査を行い、アデノウイルスの存在を確認します。
治療とケア
アデノウイルス感染症に対する抗ウイルス薬はなく、治療は対症療法が中心です。
- 解熱剤:発熱がある場合、アセトアミノフェンなどで熱を下げます。
- 安静と水分補給:十分な休息と水分摂取が大切です。
- 点眼薬(結膜炎がある場合):二次感染予防のため、抗菌点眼薬が処方されることがあります。
なお、アデノウイルスはウイルスが原因のため、抗生物質(抗菌薬)は効果がありません。
家庭内での感染対策
アデノウイルムは接触感染が主な感染経路のひとつです。家庭内での感染拡大を防ぐために、以下の対策を徹底しましょう。
- タオルの個別使用:感染者と家族でタオルを共用しないようにしましょう。洗面器・枕カバーも個別に使用します。
- 手洗いと消毒:こまめな手洗いが重要です。食事前・トイレ後・外出後は石けんでしっかり洗いましょう。
- お風呂の工夫:感染者は最後にお風呂に入り、浴槽・バスタオル・洗面器は個別に使用します。
- 隔離:感染が確認された場合、できるだけ他の家族と接触しないようにしましょう。
ナースさん
アデノウイルスは乾燥した環境でも比較的長く生存できます。感染者が触れたおもちゃ・ドアノブ・テーブルなども忘れずにアルコールや次亜塩素酸ナトリウムで消毒しましょう。
まとめ
アデノウイルス感染症は、風邪症状からプール熱・はやり目まで多彩な症状を引き起こすウイルス感染症です。特効薬はなく対症療法が中心ですが、適切なケアと家庭内での感染対策により、多くの場合は回復します。
症状が重い場合、呼吸が苦しそうな場合、水分がとれない場合は、早めに当院へご相談ください。