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熱性けいれんとは
友達のお子さんがこのあいだ熱性けいれんを起こしたんだって。「熱性けいれん」ってなんですか??
熱性けいれんとは、「通常38℃以上の発熱に伴って起こる発作性疾患」です。中枢神経感染症、代謝異常などの明らかな原因によらないもので、こどもの約10%が経験するとされています。
熱の上がりはじめが多く、両目は上を向き、手足が左右対称にがたがた震えるのが特徴です。通常5分程度で自然に収まることが多いです(止まらずに続くこともあるので油断は禁物です)。
寒そうにフルフルふるえてるのは、けいれんなの?
よく間違えるのが、発熱上昇時に寒気がおこっていることで震える(「シバリング」といいます)ことと混同してしまうことがあります。熱性けいれんとの違いは、話しかければすぐ反応する、手足を押さえればふるえがとまる、といった点です。熱性けいれんは他の人が押さえて止めたくても止めることはできません。
熱性けいれんそのもので命の危険があるわけではありません。ただけいれん中の嘔吐による吐物で窒息したり、けいれんが続くことで呼吸が浅くなってしまうことによる、呼吸への悪影響があることがあります。
他に考える病気
こどものけいれんっていうと、熱性けいれんだけなの?
発熱・意識障害を伴う場合は、髄膜炎や脳症・脳炎を考える必要があります。疑う場合は、髄液検査といって、脳と脊髄をめぐる液を背中から採取して、その液が細菌によって濁っていないかを確認します。髄膜炎や脳炎の場合は点滴で抗生物質の投与が必要です。脳症の場合は、炎症(体が異物と戦っている反応)を抑える薬を投与する必要があります。
熱がなくけいれんした場合はてんかんの可能性を考える必要があります。年に4回以上ある(春夏秋冬毎回一回以上と覚えるとわかりやすいです)場合や、手足が左右非対称にけいれんしたなどの場合はてんかんを疑って脳波を取ることがあります。
大泣きした後の場合は「憤怒(ふんぬ)けいれん」といって、乳児期などに多いけいれんのことがあります。これに関しては様子を見てるだけでそのうち起こらなくなります。
熱性けいれんの予防方法
もし1回熱性けいれんを起こしたら、もう一度起こしたら心配だ・・・
3人に2人は生涯で熱性けいれんは一回のみでおわります。
反対に3人に1人はもう一度起こすこともあります。確実な予防方法は、残念ながらありません。しかし「ダイアップ」という座薬のお薬を使うと、多少抑えられる可能性があります。頻繁に熱性けいれんを起こしている、家族に熱性けいれんの人がいる、などいくつかの特徴がある場合には医師の判断で予防を提案することがあります。
38度以上の熱に気づいた時にダイアップを一個いれます。8時間後にまだ38度以上あればもう一個いれます。それ以降は熱が続いてたとしても投与しません(一発熱に二回までです)。38度か37.5度かは医師やその子の年齢によって指示が異なる場合があります。
お熱がつらかったら、解熱剤を上手に使ってね
まとめ
熱性けいれんは多くは短時間でおさまりますが、ときおり長く続くことがあります。熱性けいれんが起きた時点で救急要請することを考えてください。嘔吐での吐物による窒息を避けるために体は横向きにして救急車を待ちましょう。余裕があればけいれん中の様子を動画に撮っておくことで、あとで医師にみせることもできます。
熱性けいれんは3人に2人は一回のみで終わります。逆に3人に1人は繰り返すことがあるので、医師の指示がある場合はけいれん予防のダイアップを発熱時にいれるようにしてください。