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はじめに

手足口病(Hand, Foot, and Mouth Disease:HFMD)は、主に乳幼児や小児に見られるウイルス性の感染症です。この病気は、手のひら、足の裏、口の中に発疹や潰瘍ができることからその名前が付けられました。日本では特に夏から秋にかけて流行することが多いですが、一年を通じて発生することもあります。本コラムでは、手足口病の症状、原因、診断方法、治療法、および予防法について詳しく解説します。

症状

手足口病の主な症状は以下の通りです:

  1. 発疹:手のひら、足の裏、口の中に小さな水疱性の発疹が現れます。時には腕や脚、臀部にまで広がることもあります。
  2. 口内炎:口の中に痛みを伴う潰瘍ができ、食事や飲み物を摂る際に困難を感じることがあります。
  3. 発熱:軽度から中度の発熱が見られます。
  4. 喉の痛み:喉の痛みや不快感が伴うことがあります。
  5. 食欲不振:口内炎や喉の痛みのために食欲が低下することがあります。

これらの症状は通常、感染から3〜7日後に現れ、症状は約1週間から10日間続くことが一般的です。

原因

手足口病の原因は、コクサッキーウイルス(Coxsackievirus)やエンテロウイルス(Enterovirus)などのウイルスです。これらのウイルスは、感染者の唾液、鼻水、便、発疹の液体などを介して広がります。特に、幼稚園や保育園、学校などの集団生活を送る場所では、感染が拡大しやすい環境にあります。

診断方法

手足口病の診断は、通常、症状と臨床所見に基づいて行われます。医師は患者の手足や口の発疹を観察し、典型的な症状が見られるかどうかを確認します。多くの場合、症状が典型的であれば臨床診断で十分です。

治療法

手足口病には特効薬はなく、対症療法が主になります。以下に一般的な治療法を示します:

  1. 解熱剤:発熱がある場合には、アセトアミノフェンやイブプロフェンなどの解熱剤を使用して熱を下げ、痛みを和らげます。
  2. 口内炎の緩和:口内炎が痛みを引き起こす場合、局所麻酔薬を含むゲルやリンスを使用することで痛みを和らげることができます。
  3. 水分補給:脱水症状を防ぐために、十分な水分補給が重要です。痛みのために飲み物を摂取しづらい場合には、氷片や冷たい飲み物が助けになることがあります。
  4. 栄養補給:食事が摂りにくい場合でも、栄養補給が重要です。柔らかく、喉を通りやすい食品を選ぶと良いでしょう。

通常、手足口病は自然に治癒しますが、症状が重い場合や合併症が疑われる場合には、医師の診察を受けることが推奨されます。

予防法

手足口病の予防には、基本的な衛生習慣が重要です。以下にいくつかの予防法を紹介します:

  1. 手洗い:手足口病のウイルスは手を介して広がることが多いため、特にトイレの後や食事の前には石鹸と水で手をしっかり洗う習慣をつけましょう。
  2. 消毒:感染者が触れたおもちゃや家具、ドアノブなどを消毒することが重要です。
  3. 共有を避ける:感染者との食器やタオルなどの共有を避けることが感染拡大を防ぐ一助となります。
  4. 休養:手足口病に感染した場合は、学校や保育園を休むことが推奨されます。これにより、他の子供たちへの感染拡大を防ぐことができます。

おわりに

手足口病は多くの場合、軽症で自然に治癒する病気ですが、発症時には適切なケアと予防策を講じることが重要です。特に乳幼児や小児がかかりやすいため、保護者の皆さんは日常の衛生管理を徹底し、子供たちの健康を守るための対応を心がけましょう。また、症状が重い場合や心配な点がある場合には、速やかに医療機関を受診することをお勧めします。

手足口病についての正しい知識を持ち、適切な対応を行うことで、この病気から子供たちを守ることができます。日々の健康管理と予防に努め、健康な日常生活を送りましょう。