冬に流行するインフルエンザ感染症。2023年・2024年もかなり流行っています。どんなウイルスか、どんな治療が必要か、みていきましょう。

目次

症状

インフルエンザウイルス感染症の症状は38℃以上の発熱頭痛だるさ筋肉の痛みが主な症状です。ほかの呼吸器系のウイルスより、全身的な症状が目立つのが特徴だといわれています。痰のあまりない咳や、嘔吐や腹痛などもあらわれることがあります。

ハマッココ

たしかにインフルエンザは全身辛いイメージがあるね・・・

合併症としては、中耳炎と肺炎が多いとされています。肺炎がインフルエンザウイルスだけでなく、そこに細菌の感染も合併すると抗菌薬の治療が必要になることがあります。

また、熱性けいれんやまれに急性脳症(インフルエンザ脳症)に注意する必要があります。ごくまれですが心筋炎などの報告もあります。

逆に、インフルエンザウイルス感染者の10-15%程度は明らかな症状がないともいわれています。

インフルエンザウイルス

”オルトミクソウイルス科”というグループに属し、AB・Cに分類されます。そのうちヒトで流行るのはAとBです。

ウイルスの表面には抗原こうげんとなる突起が2つあり、ヘマグルチニン(HA)とノイラミニダーゼ(NA)が存在します。HAとNAが毎年少しずつ変化するといわれています。また抗原性が大きく変化することがあるため、数十年ごとにパンデミック(世界的大流行)がおきることがあります。

ハマッココ

2009年に大流行したね!!

疫学

インフルエンザウイルスは咳やくしゃみで飛沫感染するといわれています。飛沫感染のみならず、飛沫したものによる接触感染もあります。

インフルエンザの潜伏期はだいたい2日間です。鼻水などへウイルスが排泄されている期間は1週間程度で、特に最初の3日間が多いとされています。また乳幼児はウイルスの排泄が長引きます(他の人へ移しやすい期間が長くなります)。

日本では毎年人口の5%ほどが罹患しています(2020,2021年以外)。15歳未満が半数を占めます(こどもに多い疾患です)。

ハマッココ

インフルエンザ感染症はこどもに多いんだね

https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/kenko-iryo/eiken/kansen-center/kansensho/graph/graph_all.images/fig01.png

検査・診断

突然の発熱咳などの呼吸症状、全身のだるさの症状がある人を対象に、インフルエンザウイルス抗原の迅速検出検査を行います。検査で陽性であればインフルエンザウイルス感染症の診断です。

家族でインフルエンザウイルス感染と診断された人がいたり、症状が典型的なインフルエンザウイルス感染症の症状であれば、検査にかかわらずインフルエンザウイルス感染症の診断とすることがあります。

治療

経口ではオセルタミビル(タミフル®)がよく用いられます。10歳以上の未成年が内服すると因果関係は不明なものの異常行動を発現した例があるとして、原則内服を控えるよういわれていた時期がありましたが、

抗インフルエンザウイルス薬の服用の有無又は種類にかかわらず、インフルエンザ罹患時には、異常行動を発現した例が報告されている。異常行動による転落等の万が一の事故を防止するための予防的な対応として、
異常行動の発現のおそれがあること
②自宅において療養を行う場合、少なくとも発熱から2日間、保護者等は転落等の事故に対する防止対策を講じること
について患者・家族に対し説明を行うこと。
なお、転落等の事故に至るおそれのある重度の異常行動については、就学以降の小児・未成年者の男性で報告が多いこと、発熱から2日間以内に発現することが多いこと、が知られている。

平 成 3 0 年 8 月 2 1 日 薬 生 安 発 0821 第 1 号より 一部整形して強調表示しています

とされました。
オセルタミビル(タミフル®)の内服は10歳以上の未成年者でも内服を控える必要はなくなりました。ただし上にあるとおりインフルエンザウイルス感染症の合併症として急性脳症があるので、薬を飲んでも飲まなくても、どんな薬でも、注意して見守る必要があることは重要なポイントです。

ハマッココ

「インフルエンザに感染した」っていう時点で、しっかり気をつける必要があるんだね

吸入薬としてはザナミビル(リレンザ®)があり、気道症状の改善によいとされています。ただしっかり吸えることが前提なので、小さい子や高齢者では十分に吸入できるかをみる必要があります。

点滴はペラミビル(ラピアクタ®)があり、具合が悪く経口や吸入での抗インフルエンザ薬の摂取ができない人が対象になります。

上に挙げた抗インフルエンザ薬は発症から48時間以内に内服開始すると、症状(主に全身症状)を1日程度短縮する可能性があります。
対症療法は、解熱剤としてアセトアミノフェン(カロナールなど)やイブプロフェンのいずれかを使用します。

家での療養

上にかいたとおり、インフルエンザウイルス感染による異常行動の発現のおそれがあるため、自宅で療養する場合、少なくとも2日間、小児・未成年者が一人にならないように配慮しましょう。

学校保健安全法では、発症したあと5日を経過し、かつ解熱したあと2日(幼児は3日)経過するまで出席停止です。

予防接種

インフルエンザウイルス感染症に備えて、毎年インフルエンザワクチンの接種が推奨されています(おおむね10月~12月中旬まで)。不活化ワクチンが使用されます。

年齢一回量回数
6か月〜3歳未満0.25ml2回接種
3歳〜13歳未満0.5ml2回接種
13歳以上0.5ml1回接種
ナースさん

年齢でワクチンの量や回数が変わるので注意してね!!

卵アレルギーがあってもワクチンに含まれる卵白アルブミンはきわめて微量であり、ワクチン接種は可能とされています。ただしアナフィラキシーを起こしたことがある人や鶏卵完全除去中の人は摂取前に主治医に相談しましょう。

インフルエンザワクチンを接種すると、2週後〜5か月程度まで有効性が期待できます。毎シーズンの接種が有用とされています。

まとめ

インフルエンザ感染症について詳しく見てきました。インフルエンザが流行している時期に、突然発熱がでたり、咳がでたり、全身がだるかったりしたら、インフルエンザウイルス感染の可能性があります。症状が出て48時間以内に抗インフルエンザ薬を内服をすれば、熱の期間が短縮できるかもしれません。インフルエンザウイルス感染の心配がある場合は、お近くの医療機関に受診するようにしてください。

この記事を書いた医師

望月 優暁

Masaaki Mochizuki

日本小児科学会 小児科専門医
はまっここどもクリニック 院長

2015年横浜市立大学医学部医学科卒業、横浜市立市民病院、藤沢市民病院、横浜市立大学附属病院、静岡県立こども病院等で小児医療に携わり、2023年に横浜市都筑区に「はまっここどもクリニック」を開院。