横浜市内で現在流行中の、流行性角結膜炎(通称「はやり目」)。今回は流行性角結膜炎のテーマについて、コラムを書きたいと思います。

目次

流行性角結膜炎とは?

流行性角結膜炎は、子供たちの間でよく見られる目の感染症です。具体的には、結膜と呼ばれる目の表面部分が炎症を起こす病気です。

横浜市の流行状況は以下に示す通りで、2023年夏に入ってから患者数が増えています。それ以降も流行が続いている状況です。

横浜市HP「https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/kenko-iryo/eiken/kansen-center/kansensho/graph/graph_all.html」より

病気の特徴

流行性角結膜炎は、ウイルスによって引き起こされる感染症です。主にアデノウイルスやエンテロウイルスによって感染が起こります。感染すると、目の結膜が充血し、目のかゆみや涙、結膜の腫れ、めやにの増加などの症状が現れます。子供たちの間で感染が広がりやすく、学校や保育園などで急速に拡大することがあります。

ハマッココ

アデノウイルスは、いろいろな症状を引き起こすんだね。

ナースさん

そうね。おおざっぱにいうとしたら、喉だけなら「(アデノウイルス)咽頭炎」、喉と目に症状があれば「咽頭結膜炎(プール熱)」目に症状があれば、「流行性角結膜炎(はやり目)」ととらえておくといいかもしれないわね。

感染経路と予防

流行性角結膜炎は、飛沫感染や接触感染によって広がります。感染を予防するためには、こまめな手洗いが大切です。また、感染者との接触を避けることも重要です。感染者がいる場合は、学校や保育園に通知することで感染拡大を防ぐことができます。

ナースさん

特にタオルの共用はやめましょう。お風呂の順番も、理想を言えば、症状が出ている人を最後にしたほうがいいですね。

子供への注意とケア

特に小さな子供たちは、感染症に対する免疫がまだ十分に発達していないため、感染しやすい傾向があります。子供の目が充血したり、かゆみを感じたりした場合は、早めに医師の診察を受けることが重要です。医師の指示に従い、処方された目薬や洗眼液を正しく使用することで、症状の緩和が図れます。

症状と診断:流行性角結膜炎を見逃さないために

流行性角結膜炎の症状と診断について理解することで、早期の発見と適切な対処ができるかもしれません。

症状の特徴

流行性角結膜炎の主な症状は、目の充血、かゆみ、結膜の腫れなどです。子供たちが目をこすることが多く、その結果、さらに炎症が悪化することがあります。また、目やにも増えるため、目の周りがくっついてしまうこともあります。これらの症状が現れた場合は、早めに医師の診察を受けることが大切です。

迅速検査キットの役割

流行性角結膜炎の迅速検査キットを利用することで診断の助けになることがあります。結膜から採取した検体を検査し、ウイルス抗原を検出します。

治療方法

流行性角結膜炎の症状が現れた場合、早期の治療と適切なケアが大切です。

対症療法の重要性

流行性角結膜炎の治療は、主に対症療法が行われます。対症療法とは、症状を軽減するための治療方法のことです。具体的には、炎症を抑える点眼薬や、細菌の混合感染を防ぐ抗菌点眼などを使用して、目のかゆみや充血などの症状を緩和します。

ハマッココ

アデノウイルス自体には特効薬がないから、症状緩和のために目薬を使うんだね。

登園・登校制限

学校保健安全法では、「医師が感染のおそれがないと認めるまで」休む必要があると定められています。一般的には発症から一週間程度が目安となるでしょう。

まとめ

流行性角結膜炎は子供たちの間で広がる感染症です。感染経路や、治療法について予め知っておくと、いざ感染した疑いがあるときに、すぐに医療機関に受診する判断ができるかもしれません。

この記事を書いた医師

望月 優暁

Masaaki Mochizuki

日本小児科学会 小児科専門医
はまっここどもクリニック 院長

2015年横浜市立大学医学部医学科卒業、横浜市立市民病院、藤沢市民病院、横浜市立大学附属病院、静岡県立こども病院等で小児医療に携わり、2023年に横浜市都筑区に「はまっここどもクリニック」を開院。