スギは、フタバスギ科スギ属の樹木の一種で、日本をはじめとするアジア諸国に分布しています。5月から6月頃には美しい花を咲かせます。

目次

スギ花粉症とは

「スギ花粉症」とは、スギの花粉によって引き起こされるアレルギー症状を指します。症状として、鼻づまりや咳、目のかゆみや腫れなどがあります。症状は、花粉が空気中に飛散する季節に特に強くなります。日本では、一般的に2月から3月にかけて、早いと1月から、スギ花粉が飛散します。季節が過ぎると改善する傾向があります。

アレルギー反応は、体の免疫システムが花粉を異物として認識することで、抗体を生成して引き起こされます。鼻や目などに過剰な炎症反応が起こり、花粉症の症状が出現します。

花粉症の治療には、薬剤(抗アレルギー薬の内服・点眼、点鼻薬、舌下免疫療法など)や適切な生活習慣(マスクの使用、室内の空気を清浄するなど)などがあります。また、花粉症の治療には、個人差があることもありますので、医師と相談して適切な治療法を選ぶことが大切です。

スギ花粉症の症状

  • くしゃみ
  • 水様性鼻汁(水性鼻漏)
  • 鼻閉(鼻詰まり)
  • 眼の症状

スギ花粉症の診断と検査

  • 鼻汁好酸球数
    鼻汁を採取して花粉症で増加する鼻汁中の好酸球数を調べます
  • 鼻誘発テスト
    花粉エキスを鼻の粘膜に付着して反応をみます
  • 皮内テスト
    花粉症の原因となる花粉エキスを腕に1滴垂らし、針で軽い傷をつけ、皮膚の反応をみます。
  • 血清特異的IgE抗体定量
    血液の中の血清に含まれる花粉に特異的なIgEを調べる検査です。

スギ花粉症の治療法

スギ花粉症を治療するためには、次のような方法があります。

  1. 薬剤:抗アレルギー薬の内服薬や点眼薬などがあり、症状を緩和することができます。
  2. 適切なマスクの使用:マスクは、花粉を吸入することを防ぎます。
  3. 室内の空気をきれいに保つ:空気清浄機や湿度調整器を使って室内の空気をきれいに保つことが大切です。
  4. 外出時の注意:花粉が多い時間帯は、できるだけ外出を控えることが望ましいです。また、花粉が多い場所を避けることも大切です。

これらの対策を踏まえ、スギ花粉症の症状を緩和することができます。また、医師に相談し、適切な治療法を決定することも大切です。

スギ花粉症の対症療法薬

スギ花粉症対策の薬としては、次のようなものがあります。

  1. 抗ヒスタミン薬
  2. ロイコトリエン受容体拮抗薬
  3. 点眼薬
  4. 化学伝達物質遊離抑制薬
  5. 鼻噴霧用ステロイド薬

スギ舌下免疫療法

スギ花粉症に対する舌下療法は、花粉アレルギーの症状を緩和する一つの方法です。2017年に日本でスギ舌下錠が市販開始されました。この療法は、舌下に薬剤を塗布することで、ヒトの体内でアレルゲンとの反応を防ぎ、症状を緩和することが目的です。

この療法は、鼻スプレーや点眼薬と異なり、口内に直接薬剤を塗布することによって体内に吸収されます。このため、長期的な効果を期待することができます。

メリット

  • 対症療法ではなく、体質を根本から改善できる可能性がある
  • 保険適用である
  • 5歳以上のこどもで治療できる

デメリット

  • 長期間の治療が必要(平均で3年~5年)
  • 副作用が起こる場合がある
    唇や口の中の腫れ、かゆみ、のどの違和感、耳のかゆみなど
  • 治療をできない人がいる
    重度の気管支喘息の人、全身ステロイド薬を使用している人、免疫不全の人 など

スギ花粉症は遺伝するか

花粉症になりやすい傾向は、家族の歴史や遺伝子などからも受け継がれることがあります。また、環境因子も影響します。例えば、花粉アレルゲンに暴露される頻度や長さ、体内のホルモンバランスなどが影響します。花粉症の発症には、遺伝的な傾向と環境因子の複合的な影響が関与しています。

まとめ

スギ花粉症についてまとめました。毎年同じ時期(2月から3月ごろ)に鼻水・鼻詰まり・くしゃみがある人はスギ花粉症の可能性があります。

症状が強い人は、医療機関に相談し、対症療法や舌下免疫療法などを検討してみてください。花粉症の治療には、個人差があることもありますので、医師と相談して適切な治療法を選ぶことが大切です。

また適切な生活習慣(マスクの使用、室内の空気を清浄するなど)も重要です。これらに気をつけることで、より効果的に花粉症の症状を抑えることができるかもしれません。

この記事を書いた医師

望月 優暁

Masaaki Mochizuki

日本小児科学会 小児科専門医
はまっここどもクリニック 院長

2015年横浜市立大学医学部医学科卒業、横浜市立市民病院、藤沢市民病院、横浜市立大学附属病院、静岡県立こども病院等で小児医療に携わり、2023年に横浜市都筑区に「はまっここどもクリニック」を開院。