「ことばがゆっくりな気がする……」
「落ち着きがないと言われるけれど、年齢相応なのかな?」
「育てにくさを感じるけれど、理由がよくわからない」
子育ての中で、ふと不安に感じる瞬間は誰にでも訪れます。
小さな“気になるサイン”をどう受け止めたらよいのか迷ったとき、
お子さんの発達のバランスを客観的に把握する方法のひとつが 新版K式発達検査2020です。

目次
新版K式発達検査2020とはどんな検査?
新版K式発達検査2020(KSPD-2020)は、
日本の文化・子育て環境に合わせて改訂された乳幼児期の発達検査で、多くの医療機関・教育機関で標準的に使用されています。
特徴は、お子さんの発達段階を「発達年齢」として示し、現在の発達のバランスを多面的に把握できること。以下の3つの領域で発達を評価します。
- 姿勢・運動(P-M):歩く・走る・手指の動きなど
- 認知・適応(C-A):形を認識する力、問題解決の力
- 言語・社会(L-S):ことばの理解・表出、社会的なやり取り
当院で使用しているKSPD-2020は、最新の基準に基づいており、より現代の子どもに合った発達の評価ができる点が特徴です。
当院での対象年齢
当院では、1歳6か月(1歳半)〜5歳未満のお子さんを対象に検査を行っています。
この時期は発達の伸び方に個人差が非常に大きく、「心配だけど、年齢相応なのかわからない」という保護者の声が多い年齢帯です。気になるサインを整理するための有効なツールとして活用されています。
どんなときに受けるの?
次のような場合に、新版K式発達検査が役に立ちます。
- ことばの遅れがある気がする
- 落ち着きがない/集団行動がむずかしい
- 手先の不器用さや運動のぎこちなさが気になる
- こだわりが強い、遊び方が独特で心配
- 保育園・幼稚園から発達面での相談を勧められた
- 就園・就学に向けて、現時点の発達状況を整理したい
乳幼児期は「様子を見るだけでは判断が難しい」ことも多く、検査を受けることで次のステップや支援の方向性が見えやすくなります。
検査で「できること」と「できないこと」
新版K式発達検査は、“今のお子さんの発達段階を可視化する”ための検査です。
◎ できること
- 発達のバランス(得意・苦手な領域)の把握
- 発達年齢をもとに、必要な支援や関わり方のヒントを得られる
- 保育園・幼稚園との連携、支援機関利用の参考資料になる
△ できないこと
- ASD・ADHDなどの診断を単独で確定すること
- 将来の発達の伸びを断定すること
診断が必要な場合は医師の診察や他の検査と組み合わせて総合的に判断します。
検査はどのように行うの?
臨床心理士などの専門職が、お子さんと1対1でリラックスできる雰囲気の中で行います。
おもちゃやカードを使った遊びのような課題が多く、自然な行動を見ることができます。
- 所要時間:約60分前後
- 対象年齢:1歳6か月〜5歳未満(当院)
- 結果は後日、保護者の方へ丁寧にフィードバックいたします
課題の結果だけでなく、取り組み方、興味の示し方、注意の向け方なども含めて総合的に評価します。
新版K式発達検査の3つの発達領域
KSPDでは、次の3領域からお子さんの発達を評価します。ここでは、保護者の方がイメージしやすいように、日常場面の具体例を交えて説明します。
1)姿勢・運動(P-M):体の動き・手先の使い方の発達
姿勢・運動(P-M)は、寝返り・歩行・走るなどの全身運動に加えて、手指の操作(微細運動)も含む領域です。乳幼児期では「運動が得意かどうか」だけでなく、体の使い方の安定感や、手先の器用さが生活のしやすさに直結します。
日常での具体例
- 階段の上り下りで手すりが必要、片足ずつが難しい
- 走るとよく転ぶ、ぶつかりやすい(体のコントロールが不安定)
- スプーンやフォークがうまく使えず、食べこぼしが多い
- ボタン留め、ファスナー、靴を履くなど身支度が難しい
- クレヨンや鉛筆を持つのを嫌がる、線を引くのが苦手
姿勢・運動がゆっくりなお子さんは、園での活動(製作、外遊び、運動遊び)で疲れやすかったり、苦手意識を持ちやすかったりすることがあります。検査で特徴が整理できると、「できない」ではなく「どの動きが負担になっているのか」を捉え、環境調整(道具の工夫、手順の分解、練習の仕方)につなげやすくなります。
2)認知・適応(C-A):考える力・理解する力・問題解決の発達
認知・適応(C-A)は、形や大きさの理解、見通しを立てる力、状況に合わせて行動を調整する力など、いわゆる「考える力」「理解して工夫する力」に関わる領域です。学習の土台にもなるため、就園前後の相談で重要になることが多い領域です。
日常での具体例
- パズルや型はめが極端に苦手/逆に集中して得意
- 「同じ」「違う」「大きい・小さい」などの概念理解が難しい
- 積み木で形を作る、見本を見て真似するのが苦手
- 手順が2つ以上になると混乱しやすい(例:手を洗って拭いてから席へ、が難しい)
- 初めての場面で戸惑いやすく、見通しがないと不安が強い
認知・適応に凹凸があると、「理解しているつもりなのに行動できない」「説明しても通らない」などの形で困りごとが表に出ることがあります。一方で、ここが得意なお子さんは、図形・ブロック・記憶を活かした遊びに強く、言語がゆっくりでも“考える力”がしっかりしていることもあります。検査で得意な力が見えると、強みを活かした支援(視覚的な提示、見通しの工夫、手順カードなど)につなげることができます。
3)言語・社会(L-S):ことば・やり取り・社会性の発達
言語・社会(L-S)は、ことばの理解と表出(話す力)だけでなく、人とのやり取り、模倣、共同注意(同じものに注目する)、気持ちの共有など、社会性に関わる発達も含む領域です。
「発語が少ない=すぐに大きな問題」というわけではありませんが、言語・社会の発達は日常生活の困りごとにつながりやすく、保護者の不安が大きくなりやすいポイントでもあります。
日常での具体例
- 呼びかけても振り向かないことが多い(聞こえの問題とは限らない)
- 指差しが少ない/相手の指差しを見ない(共有が難しい)
- 要求はあるが、ことばではなく泣く・引っ張る・癇癪で伝える
- オウム返しが多い、会話のやり取りが続きにくい
- 一人遊びが中心で、他児への関心が薄い/関わり方が独特
- ルールのある遊びが苦手で、順番待ちや切り替えが難しい
言語・社会の発達がゆっくりな場合、園生活では「先生の指示が入りにくい」「ト
検査後にわかること
新版K式発達検査の最大の価値は、家庭や園での関わり方のヒントが得られることです。
例として…
- 言語面がゆっくり → ことばを育てるコツや遊びの提案
- 認知面が得意 → ブロック遊びや図形遊びを活かす工夫
- 運動面が苦手 → 作業療法や家庭での運動遊びの提案
“今の発達の姿”を丁寧に知ることで、必要な支援を早期に見つけ、安心して子育てができるきっかけになります。
当院でも新版K式発達検査に対応しています
当院では、お子さんの発達に関する不安や疑問に寄り添いながら、
新版K式発達検査2020を通じて、必要な支援を一緒に考えていくことを大切にしています。
まずは、小児科医の発達相談外来(保険診療)を受診いただき、その後自費での検査となります。ご関心のある方はお気軽にお問い合わせください。
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