生まれてようやく1か月。1か月健診ではどんなことを診てもらうのか、どういった相談が多いのかを解説していきます。

目次

哺乳の状況

完全母乳、完全ミルクまたは混合栄養など、どういった形で哺乳をしているのか確認します。

母乳が出ていれば、母乳で栄養するのが赤ちゃんにとってより良いとされています。1か月健診の体重測定で、母乳だけで体重がしっかり増えていれば特にミルクを出す必要はありません。一方で、

ハマッココ

うちの子は母乳だけだとなんだか足りなさそう・・・誰かに預けるときもミルクを使ってます

などと、さまざまな理由でミルクを使う方もいます。母乳だけではお腹がすいてそうですぐ泣いてしまう、仕事復帰のためにミルク(哺乳瓶)に慣れさせる必要がある、などです。人工ミルクも栄養をかなり考えられて作られていますので、ミルクを適切に使うこともとても良いことと思います。

1日8回飲む赤ちゃんが最も多い印象ですが、もちろん10-12回と多めの子もいますし、6-7回ですんでしまう赤ちゃんもいます。個人差が大きい部分なので回数に特に決まりはありません。

回数が多いとお母さんも夜寝れなくて非常に疲れると思います。1か月の時点では、体内のリズムがあまりついていない赤ちゃんが多いためです。昼は部屋をしっかり明るくして、夜は暗くする、という繰り返しでだんだんリズムがついてきます。時にはご家族を頼りながら、母乳またはミルクをあげてください。

体重の増え

1か月健診の時点で1日あたり25~30gずつ以上増えていれば順調です。1日あたり30〜50gぐらいの体重の増えが一般的な印象です。個人差はあります。

ハマッココ

なんか一ヶ月でだいぶ重くなった気が・・・体重増えすぎでは?!

完全母乳であれば、「欲しい時に欲しがるだけあげる」が原則なので、体重がよく増えているからといってあげ惜しむ必要はありません。

ミルクも併用して使っている中で、体重の増加が大きすぎるときには、ミルクの減量を提案させていただく場合もあります。ただし赤ちゃんの体重が増えれば、その分必要量は増えるので、減らしっぱなしではなく赤ちゃんの空腹具合を見ながら、10-20ml/回の刻み幅で、ミルクの量の調整を行いましょう。

産科入院中の検査結果の確認

先天性代謝異常スクリーニング

ハマッココ

産院から採血の結果の紙をもらいました。

先天的な代謝の病気がないかを調べる採血の検査です。代謝とは人間が生きる上で、摂取したものをエネルギーに変換する流れのことをいいます。その流れに必要な物質(酵素こうそ)がないと正しくエネルギーを産生できず、いろいろな障害をきたします。先天性代謝異常スクリーニングは、それらの疾患を早期発見するための採血検査です。

生まれて4日後くらいに足の裏のかかとから採取します。だいたい2〜3週間くらいで検査結果が返ってくるので1か月健診までには検査結果をお話しできます。すべての項目が正常であれば問題なく、ほとんどの赤ちゃんが正常の結果で返ってきます。

たまに体重が小さかった、採血時の飲みが悪かったなどさまざまな理由で「再検査してください」と返ってくることがあります。再検査だからといってすぐ異常というわけではありません。「スクリーニング」とは異常をひっかけるための検査なので、異常を見逃してしまうよりは、「正常なのに異常と判断してしまうかもしれないが確実に異常を拾える」ような感度になっています。したがって、再検査で正常になることもあります。まずは落ち着いて再検査を受けるようにしてください。

聴力検査(AABRまたはOAE)

先天性の難聴をみつけるための、新生児用のスクリーニング方法のひとつです。自動聴性脳幹反応(AABR)と耳音響放射(OAE)のふたつがあります。

AABRは児が眠っていれば数分で行える検査です。結果は「PASS(合格)」か「refer(要再検)」で返ってきます。再検査になるのは100人に1人に満たない人数で、再検査になっても3人に2人ほどは再検査すると難聴ではなく正常の結果になるようです。

OAEは原理はAABRとは違いますが、こちらも広く使われているスクリーニング方法です。結果は同様でPASSかreferで返ってきます。どちらの検査を受けるかは施設が導入する機械がどちらかで決まっています。どちらの検査がより良いなどは基本的にはありません。

身体診察

問診が終わると、医師による診察です。1か月健診では頭のてっぺんから足先まで、赤ちゃんが元気かどうか確認していきます。赤ちゃんが泣くといけないので心臓の音の聴診から始める先生がほとんどです。聴診の間はなるべく静かにしていただきたいのですが、そのあとは気になる点があれば適宜話しかけてもらっても構いません。

おおまかにどういうところをみているのかを解説していきます。

大泉門だいせんもんは頭のてっぺんにある凹んだ部分です。個人差はありますがだいたい1歳頃まであいている骨の縫合線の境目です。正常より大きすぎないか、小さすぎないかみていきます。そのほか頭に腫瘤(こぶ)がないかどうかなどもみています。

肺の音はきれいかの呼吸状態の確認と、心臓の雑音はないかの確認を行います。出生した児の約100人に1人に先天性心疾患があるといわれています。必要があれば超音波検査で心臓の構造を確認します(※超音波が設置されている医院や病院)。

お腹

目で見て色調はどうか、触っておなかの張り具合、肝臓・脾臓などの臓器が大きすぎないかを観察します。聴診で、腸がしっかり動いている音を確認します。優しく圧迫して腫瘤(できもの)が触れないか確認します。

外性器

男の子の場合は、玉は両方ちゃんと触れるかや、陰茎の形状に異常がないかを中心にみています。

女の子の場合は、大陰唇や小陰唇の大きさの関係、色調、おりものなどをみています。

よくある質問

母乳が足りているか心配です。

体重がよく増えていれば問題ありません。

顔の湿疹が心配です。

1日1回の沐浴で石鹸や赤ちゃん用ボディーソープで皮脂を落とし、きれいに洗ったあとに水分をふいて、すぐに保湿剤(市販のベビーローションで可)を塗ってください。どんなに頑張ってケアしても悪くなることもあるし、ケアをしなくても良くなっちゃうこともあります。湿疹の悪化・改善に波があるので、悪化してきて心配なようであればご受診ください。

夜にうなっています。

お腹が張っている、うんちを出そうとしている、など原因は本人しかわかりませんが、うなることはよくあります。うなっていないときに元気で飲みもよければ気にしすぎる必要はありません。

鼻がふがふが言って苦しそうです。

赤ちゃんの鼻の穴の大きさはとても小さいので、少し鼻水があるだけで詰まったように見えてしまいます。咳などの風邪症状が他になければ、様子をみていれば大丈夫です。飲むときに苦しそうな場合は休憩を入れながら飲ませてあげてください。鼻水の吸引は特に必要ありません。

まとめ

生まれて1か月間で様々な疑問がでている方もいらっしゃると思います。不安に思うことはなんでも診察する医師に質問してください。1か月健診は赤ちゃんが健やかに育っているかを確認する場ですが、それと同じくらいお母さんやお父さんがお子さんに関して安心して育児に向き合えるようにサポートする場でもあります。

この記事で、1か月健診に関するイメージが少しでもわきやすくなれば嬉しいです。